2016年12月04日

特急あずさ、50年の歴史と伝統、そしてこれからも

JR東日本のプレスリリースによると、50周年を記念した特別ラッピングを施した松本車両センターのE257系特急電車一編成が、中央線特急として先月10月から運用しているという。

かいじ・あずさとして知られる中央線特急は、都心と甲信エリアを結ぶ最短コースの一つで、行楽客だけでなく多くのビジネス客にも利用されてきた路線である。長野新幹線の開通までは中央線が唯一の山越えルートであったこと、並行する中央自動車道の高速バスとの競合もあり、運行本数が他の東京・首都圏始発の特急に比べ多く設定されている。スーパーあずさも含めた、昼夜の30分間隔の過密な運行を実現するために、E257系の配置数は他の特急型車両を抜いて、関東圏ではダントツ一位である。

現在運行されている数十台の中の、たった一台にたまたま出会うことができたのだから、これは運が良かったと感謝するしかない。

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 21世紀になってから登場したE257系の車体デザインは中央本線沿線に所縁のある戦国武将、武田信玄の家紋をモチーフとして明るい色を配したパターンに変わった。それまでの183189系等国鉄特急車両の二色塗りのシンプルなデザインを打ち破った斬新な登場だったと記憶している。

 鉄道旅行の楽しげな雰囲気を表しているともいえる、明度の高い武田菱をモチーフとしたパターン、その風合いはそのままに、菱形に細かい白抜きを用いたグラデーションを施すなど多少のアレンジが香り付け程度に施され、50周年記念エンブレムが制作された。

またこのエンブレムには紺色で右から左へと流れてゆくように電車のシルエットが走っている。先頭車両の顔の部分の簡単な輪郭しか描かれておらず、また歴代の中央線特急車両とはどうも似ていないこのシルエットは、スーパーあずさの後継と噂されているE353系の姿を想像させる。E257系も含め、すべての中央線特急が新型車に置き換えられる日も近いのだろうか。目新しい車両が変わらない沿線風景の中を走る姿を追いかけるのは楽しみではあるが、思い出がまた一つ消えるようでかなしくもある。

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そんな往年のファンを彷彿とさせるのは、183189系時代の車両側面の方向幕の意匠を元にした、「あずさ50周年」ステッカーである。
現在では多客時の臨時列車としての運用(豊田車)でしか見られなくなった国鉄189系のヘッドマークの「あずさ」の独特なひらがなフォントの味わいをそのままに、21世紀に蘇らせた50周年の門出にぴったりなデザインである。

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 走り出してからはや半世紀、沿線の荘厳な山々は在りし日のまま、しかし気付けば列車は21世紀。
50年の歴史と受け継いできた伝統を表現したエンブレムを賜って、50年目のスタートラインを切ろうとするあずさ、感動もひとしお、これからの期待も込めてそっとエールを送りたい。


posted by Y.Toriyama at 16:37| Comment(0) | 電車