2017年05月26日

ロマンスをもう一度

Romance_Car_Odakyu_05.JPG

東京の私鉄のなかでもっとも幅広く有料特急を走らせているのが、小田急電鉄ではないか。

ロマンスカーの名前で有名な同社の特急電車はその数も多く、カメラを持っていない日でも、沿線のカフェにでも入ってくつろぎながら列車ウォッチングができる楽しい路線である。

Romance_Car_Odakyu_01.JPG

新宿を起点とする小田急線は、東京都を横切り、多摩川を渡った後は神奈川県に入り、途中枝分かれして、一方は藤沢・江の島方面へ、もう一方は箱根の山を目指して西へ進み、小田原・箱根湯本方面へ進んで行き、一部はJR東海の御殿場線経由で富士山の東山麓である御殿場まで乗り入れる列車もある。

小田急ロマンスカーのうち、湘南の海を目指すのは「えのしま」、相模の国を走り抜けて、歴史の町小田原を目指すのは「さがみ」、さらに箱根登山鉄道に乗り入れて山を上っていく列車には「はこね」の愛称がそれぞれつけられている。ロマンスカーのCMでよく見る美しい景色はこのはこねではないか。また、2・3時間おきに運行されている御殿場線乗り入れの特急には「あさぎり」という、何ともいえない旅情を漂わせる名前がついている。

使われている車両もいろいろな世代とカラーリングがあってそうした違いが思わず目を楽しませる。

朱色と言ったほうが正しいのか、赤色は長いことロマンスカーの伝統となってきた色である。21世紀に入ってから登場した車両も含めてすべての車両が、朱色の細帯を身にまとっていて、普通電車とは一味違った、特別な旅、ロマンスを感じさせるようなデザインになっている。

また、近いうちには車体、そしてそのよそおいを一新したリニューアル車が登場することも公式に発表されていて、さらに鉄道ウォッチングが楽しくなること、間違いなしである。


ちょっと都会の華やかさに置いてゆかれてしまったな、忙しさにため息が続いているな、なんてときには、ロマンスカーでちょっと遠くへ足を延ばしてみるのも素敵な日になるのかもしれない。

Romance_Car_Odakyu_04.JPG
Romance_Car_Odakyu_02.JPG
posted by Y.Toriyama at 07:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 電車

2017年04月21日

中央東線の旅〜眼下に広がるいなほのこがね

ChuoEastLine_Torisawa_07.JPG

ChuoEastLine_Torisawa_06.JPG

       先のダイヤ改正では高尾発長野行きの普通電車が設定されたそうで、歴史を感じさせる国鉄系211系での長旅は、東海道本線の熱海以西の鈍行しか走っていないエリアの各駅の旅を思わせる。

       海か山かという問題にしてしまえば、それこそ人のすき好きであるが、街道沿いのひらけた感じより、みどり間近かに自然を楽しめ、さまざまな地形のうえを走ってゆくのが面白いと思う私には、中央本線のほうがより好みである。

ChuoEastLine_Torisawa_05.JPG

       青と水色のツートンカラー、爽やかさというよりスーパーあずさのE351系に通じているような上品な色をひいた211系の6両編成が高尾からさき、山梨・長野を目指して進んでゆく。列車は高尾を出ると小仏峠をトンネルで超えてゆき、相模湖をでて左手に湖にかかる美しい白の橋を見る。湖を離れて、いくつかトンネルを抜けて、上野原、四方津のあたりから桂川を窓辺に見て、列車はしばらく川沿いをゆく。きっとおそらく、桂川が長いとしつきをかけてつくった河岸段丘の上に暮らしがあって、そのわきのあたりを中央線は走っているのだろう。

       永く川べりを走っていると、天気が悪く見晴らしの良くない日などには、ガラスの向こうも曇ってしまって、ため息をつきはじめることもあるだろうけども、ぼんやりとつまらなく外に目をやっているのを驚かせる景色が鳥沢を過ぎたところにある。

       電車が鳥沢鉄橋を渡る。秋の実のりの時季には眼下に広がるいなほのこがね。曇りぞらの日には桂川に削られた谷に立ちこめる霧と雲。少し言いすぎても構わないのなら、鉄橋を渡るあいだだけの短い風景は、都会を忘れてやってきた桃源郷を見たかのようなものである。

鳥山 柚樹

posted by Y.Toriyama at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電車

2017年03月31日

秋色の電車が通る〜南武線開業90周年

    三番線がわのベンチから、じっくりとE233系8000番台のまだ新しい車体を眺めつつ、南武線のこれまでとこれからに思いを馳せている。

    東京と神奈川のさかいめ辺りを走っている南武線が、今年で90周年を迎えるというので、遠出のついでではあるが、途中の武蔵中原駅で降りてみた。
    川崎と立川を結ぶ35.5kmの南武線には、横浜線の「はまかいじ」のような特急の設定はなく、昔のように青梅線に直通する臨時列車は季節が限られごくわずかになっている。昔は青梅線の奥多摩や、中央本線・長野方面と東京湾臨海部とを結ぶ貨物路線としての色合いも濃く、電気機関車がじっくり引っ張るながい長い貨物が昼夜行き来していたと聞くのだが、今では並行する武蔵野貨物線のほうがずっと便利で、この南武'本'線を走っているのは中央線の快速と各駅のあいのこのような、秋を思わせるカラーリングの6両編成だけである。15分置きくらいの普通電車と時々気まぐれのような快速電車である。

90th_Anniversary_NambuLine_01.JPG

    電車の写真を撮ったり、見たりする人には、ちょっと物足りない路線かもしれないけれども、私は今の主力のE233系が出てくる前の、205系やE209系が仲良く顔をあわせるような頃から南武線を見知っていて、多少のおもいでも出来た。
    ひとには感傷と言われるようないくつもの思い入れがあったりするから、こんな折に再び訪ねてみようと思ったのかもしれない。


90th_Anniversary_NambuLine_03.JPG 90th_Anniversary_NambuLine_05.JPG 90th_Anniversary_NambuLine_04.JPG

2017年3月9日 Y.Toriyama

posted by Y.Toriyama at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電車

2017年03月05日

富士急行線に国鉄形の面影さがしに

JRグループ各社の3月4日のダイヤ改正もあり、改めて2017年度を迎えた今日この頃、であるけれど、ゆびおり数えてみると、この春でJR発足30周年ということになるようだ。これもまた一つの節目というわけで、今回は現役でいまだ走り続ける国鉄末期製造の鉄道車両を追いかける旅に出てみたい。
Fujikyu6000_JNR205_01.JPG

といっても、今回出かけてきたのは「富士急行線」である。富士急行は山梨県東部の街、大月から、南へ進み、日本の代表的観光地の一つ、富士山のふもとを目指して走る、総延長26.6キロの私営鉄道である。富士急行線は大月駅で中央本線と接続しており、週末を中心に新宿・東京方面からの観光列車が直通していることでも有名である。しかし、今回の鉄道ウォッチングの目的はJR線からの臨時列車で使われる国鉄系特急189系を見ることではなく、毎日まいにち大月と河口湖駅の間をじっくりと行き来し、沿線に住む人たちの生活の足となっている富士急6000系(旧JR東205系)を見ることである。
Fujikyu6000_JNR205_04.JPG

「FUJISAN COMMUTER TRAIN」という愛称のついた富士急6000系は富士急行による新造車ではなく、かつてJR東日本の京葉線で走っていた205系をもらい受けたものであるそうだ。いろいろと伝え聞いたことによると、この富士急6000系は、はじめ国鉄末期に山手線用に先行導入された国鉄205系車両が、都心での運用を終えた後、カラーリングをワインレッドに変えて京葉線に充てられ、長く都心と舞浜とをつなぎ続けたのち、JRになってからの新造車に置き換えられる形で廃車になり、富士山麓におくられたものだそう。
Fujikyu6000_JNR205_05.JPG

今回鉄道ウォッチングに選んだ駅は、大月から六つめの「谷村町駅」である。ここまで五つ駅を数えてくる中にも素敵な駅はいくつもあるのだが、二面複線のこの谷村町駅もこじんまりとしていいつくりの駅である。この駅はつい何年か前に、あるアイドルグループのミュージックビデオに使われたこともあって、巷では有名な駅であったりもする。
しかし、首都圏の過密なダイヤのもとでの運用を長く経験したのちに、まだ現役で走り続けているのだから、列車のながいながい旅のつかれを労うとともに、ここまで永く現役で走らせるために車両の体調管理を続けられてきた整備士の方々の丁寧な仕事には頭が上がらない。
Fujikyu6000_JNR205_03.JPG

谷村町におもむいたのは、昨年の夏の終わりごろ、台風が近づく季節で、カメラで列車の雄姿を収めるための青々とした夏空は期待できず、霧のような小雨が谷村の谷あいの街並みをつつんでいた。しかし、朝から続いていたこの雨が太陽を遮っていてくれたからか、ひととき都会の残暑のあつくるしさを忘れさせてくれる旅となった。
Fujikyu6000_JNR205_02.JPG

富士急行線も首都圏近郊路線の一つであるから、今では多くの駅でICカードが利用できるけれども、中央線との乗換駅である大月駅ではJR線のりかえ改札ではないほうの小さな有人改札では昔懐かしの検札鋏で切符にはさみを入れてくれ、今回降りてみた谷村町駅では駅員のお姉さんが親切な方で、声をかけると改札の際に「お持ち帰り記念」印を丁寧に押してくださった。さすがに硬券の時代ではないけれど、とても味わい深い思い出になる。乗り換え時間に余裕があるならば、中央線を降りたらいったんJR改札を出、改めて切符を買い求めて旅を始めるのもまた面白いのではないか。

2017-03-03 鳥山 柚樹
posted by Y.Toriyama at 13:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 電車

2016年12月04日

特急あずさ、50年の歴史と伝統、そしてこれからも

JR東日本のプレスリリースによると、50周年を記念した特別ラッピングを施した松本車両センターのE257系特急電車一編成が、中央線特急として先月10月から運用しているという。

かいじ・あずさとして知られる中央線特急は、都心と甲信エリアを結ぶ最短コースの一つで、行楽客だけでなく多くのビジネス客にも利用されてきた路線である。長野新幹線の開通までは中央線が唯一の山越えルートであったこと、並行する中央自動車道の高速バスとの競合もあり、運行本数が他の東京・首都圏始発の特急に比べ多く設定されている。スーパーあずさも含めた、昼夜の30分間隔の過密な運行を実現するために、E257系の配置数は他の特急型車両を抜いて、関東圏ではダントツ一位である。

現在運行されている数十台の中の、たった一台にたまたま出会うことができたのだから、これは運が良かったと感謝するしかない。

The_Commemorative_Emblem_of_Azusa_50th_1.JPG

 21世紀になってから登場したE257系の車体デザインは中央本線沿線に所縁のある戦国武将、武田信玄の家紋をモチーフとして明るい色を配したパターンに変わった。それまでの183189系等国鉄特急車両の二色塗りのシンプルなデザインを打ち破った斬新な登場だったと記憶している。

 鉄道旅行の楽しげな雰囲気を表しているともいえる、明度の高い武田菱をモチーフとしたパターン、その風合いはそのままに、菱形に細かい白抜きを用いたグラデーションを施すなど多少のアレンジが香り付け程度に施され、50周年記念エンブレムが制作された。

またこのエンブレムには紺色で右から左へと流れてゆくように電車のシルエットが走っている。先頭車両の顔の部分の簡単な輪郭しか描かれておらず、また歴代の中央線特急車両とはどうも似ていないこのシルエットは、スーパーあずさの後継と噂されているE353系の姿を想像させる。E257系も含め、すべての中央線特急が新型車に置き換えられる日も近いのだろうか。目新しい車両が変わらない沿線風景の中を走る姿を追いかけるのは楽しみではあるが、思い出がまた一つ消えるようでかなしくもある。

The_Commemorative_Emblem_of_Azusa_50th_4.JPG 


そんな往年のファンを彷彿とさせるのは、183189系時代の車両側面の方向幕の意匠を元にした、「あずさ50周年」ステッカーである。
現在では多客時の臨時列車としての運用(豊田車)でしか見られなくなった国鉄189系のヘッドマークの「あずさ」の独特なひらがなフォントの味わいをそのままに、21世紀に蘇らせた50周年の門出にぴったりなデザインである。

The_Commemorative_Emblem_of_Azusa_50th_2.JPG


 走り出してからはや半世紀、沿線の荘厳な山々は在りし日のまま、しかし気付けば列車は21世紀。
50年の歴史と受け継いできた伝統を表現したエンブレムを賜って、50年目のスタートラインを切ろうとするあずさ、感動もひとしお、これからの期待も込めてそっとエールを送りたい。


posted by Y.Toriyama at 16:37| Comment(0) | 電車

2016年10月09日

信濃路ノスタルジア、中央線こころのふるさと

1966 (昭和41 )1212日 に新宿駅 - 松本駅間で運行を開始したあずさ号は、20161212日に運行開始50周年を迎える。

東京と信濃路を結んできた特急あずさ、中央東線の幾重にも重なる山々、高パーミル、急勾配区間を走り抜けてきた、あの逞しさは鉄道ファンのみならず中央線に旅情を誘われるすべての人の心をつかんで離さない。

Azusa_50th_anniversary_1.JPG

「変わりゆく新宿駅・国鉄系とミライナタワー」

グレードアップあずさ塗装189系 上り あずさ71 (9071M) 2016/10/08 新宿駅


高尾を過ぎて小仏のトンネルを抜けると列車は桂川の河岸段丘をゆく。晴れた日には雄大な富士を横目に見ながら列車は少しずつ山登りを始める。

幾重ものトンネルを抜けると進行方向後ろ向きを眺めて座っている私には、段丘面に張り出した山々が一枚一枚の重なりとなって、遠く一葉の絵画のようにみえる。


甲府を出て、間もなくすると、新府、穴山、日野春、長沢、小淵沢とゆくと遠く八ヶ岳の美しい稜線が車窓に映る。

長坂-小淵沢間の大カーブでのあずさと八ヶ岳の壮観は有名であるが、あの曲線を曲がるとき、あの歌の見ているような信濃路を思い起こさせる。

Azusa_50th_anniversary_2.JPG

「疾走する189系あずさ」

グレードアップあずさ塗装189系 上り あずさ71 (9071M) 2016/10/08 中野駅


あずさ・かいじとして長年走り続けた国鉄系189系も、E257系の登場によりいつしか定期運用から外されてしまって今では数少ない臨時運用に当てられるのみになってしまった。

鉄道の技術革新も進み、利用者の時代も変わり、時代に合わせた新型車の投入により運輸効率・快適性が向上してゆくのはこれはまた素敵なことではあるが、やはり懐かしいベージュ色の列車が毎年一台一台廃車になってゆくさみしさは隠しきれない。

だから私は、その名残惜しさを紛らすように、ラストランも近くなった189系とともに思い出をたどるのである。

Azusa_50th_anniversary_3.JPG

「懐かしいベージュ色」

国鉄系189系 下り かいじ186 (9056M) 2016/10/01 新宿駅


2016-10-09 Y.Toriyama


posted by Y.Toriyama at 11:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 電車
検索ボックス